DTMとサンプリングと音楽制作

今日はネタの紹介は置いといて、少し音楽制作について書きたいと思います。


このブログ、実はDTMをレッスンする音楽教室のブログなのですが、そのわりには、音楽制作の方法やテクニックについて全く書かれていません(笑)。ほとんどがサンプリングソースやネタの紹介に終始しています。

パソコンで音楽を作る男性

これには少し理由があります。
それにはまず、「DTMとは何ぞや?」といったことから説明したいと思います。


DTM(ディー・ティー・エム)はデスク・トップ・ミュージックの略称で、パソコンや機械で音楽を作ることを意味する言葉です。かなり平たく言うと、ピアノからギター、ドラム、トランペット、バイオリンに至るまで、機械に詰め込まれた様々な音を、パソコンに演奏させて音楽を作り上げる行為です。

ギター、トランペット、バイオリンを演奏している様子

とここまで聞くと、「パソコンのボタン一つ押すだけで、頭に思い浮かんだメロディを演奏してくれるのか。よーし。早速オリコン10位以内を狙って曲でも作るか!」なんて夢の印税生活に期待が膨らむかと思います。
が、しかーし、

世の中、そんなに甘いもんじゃありません(笑)


パソコンに音楽を演奏させるには、専門のソフトの操作に始まり、「MIDI(ミディ)」と呼ばれる演奏情報の作成や、「打ち込み」と呼ばれるデータ入力作業をしなくてはいけません。

それは、まるで事務職です(笑)

楽譜を書きながら悩む男性

近年では、操作性の優れたソフトの登場によって事務職作業(笑)は大分簡略化されてきましたが、それでも基本にあるのは専門的な作業です。そもそも、楽器が弾けない人や楽譜が読めない人には、メロディの打ち込みすらままならないと思います。
ちなみに、小学校でやった縦笛やハーモニカ、木琴では打ち込みはできません(笑)

仮に、楽器が弾けない・楽譜が読めない人がDTMを始めたとしても、意味の分からないソフトの操作やMIDIの打ち込みに四苦八苦して、モチベーションがどんどん下がってくるのは目に見えています。特にDTMを始めたての頃は、事務職作業と格闘の末苦労して作品を作っても、なかなか満足のいくサウンドにはなりません。「何が何でもDTMを完璧にマスターするんだ!」といったストイックな決心がない限り、きっと心が折れると思います。私がそうでした…。

もちろん、ソフトや機材は何とかしてくれません。自分が打ち込んだつたないデータを、冷酷なほど正直に(笑)再現してくれるだけです。


そこで、DTM初心者の方の心が折れないように(笑)オススメするのが、「サンプリング」と「ループ」いう制作手法です。

レコードジャケットの写真と自分を重ね合わせている男性

「サンプリング」とは、(厳密には違いますが)他人の曲の一部を録音・加工して自分の曲にそのまま利用する制作方法で、「ループ」とは、フレーズを周期的に繰り返すことで楽曲を構築する方法です。


例えば、ミック・ジャガーさん(以下Mさん)がバラード調のピアノにのせて曲を作りたいと思ったとします。ところが、Mさんはコード進行やフレーズのアイディアはおろかピアノを弾くことすらできないので、自分でピアノパートを作ることができません。
そこでMさんは、以前からお気に入りのビートルズ「Let It Be」のイントロを伴奏代わりに、曲を作り始めることにしました。当然自分では弾けないので、持っていたビートルズのレコードから、ポール・マッカートニーの演奏を直接録音することにします。

ターンテーブルで再生されているレコード

と、これが「サンプリング」のアバウトな考え方です(笑)
いうなれば、「市販の曲のお気に入り部分をベースに曲を作る方法」といったところでしょうか?

しかし、録音した「Let It Be」のイントロはたった4小節しかありません。このままでは短すぎて、サビはおろかメロディすら付けられません。もちろん、Mさんには新しく長い伴奏を作るスキルはありません。
仕方ないので、Mさんは録音したフレーズを何度も繰り返して使うことにしました。

スパイラル状のオブジェ

と、これが「ループ」のアバウトな考え方です(強引だなぁ…笑)
いうなれば、「短いモチーフを淡々と繰り返して作るフレーズ」といったところでしょうか?
テーマやモチーフを繰り返すことで曲を発展させるバッハや、繰り返されるコード進行や伴奏の上をアドリブが展開するジャズも、広い意味ではループ音楽といえます。


ということでMさんは、「サンプリング」により高度なピアノ演奏とフレーズを、「ループ」により一曲分の伴奏を手に入れた訳です。
もちろん、このままではビートルズ「Let It Be」のイントロの断片がひたすら繰り返される、壊れたCDプレイヤーみたいな音楽です(笑)。「どこがオリジナルだよ、盗作じゃねえか」って思う方もいると思います。

ビートルズのメンバー

しかし、この後Mさんは、インドの歌謡曲からサンプリングしたパーカッションと、アフリカの現地音楽からサンプリングした民族楽器のフレーズを加えて、自身の歌によるコブシの効いたメロディも付けました。
最終的に完成したサウンドは、ビートルズの「Let It Be」こそベースとなっていますが民族音楽調の演歌(笑)で、もはや、Mさんの個性溢れるオリジナル楽曲と言えるのではないでしょうか?

ピアノや民族楽器を弾いている様子

Mさんの例は極端ですが(笑)、少なくとも音楽的知識や技術のないMさんの曲で、ピアノを始め、見たこともないようなインドやアフリカの楽器の優れた演奏が聴けるのは、サンプリングの賜物です。
また、ロックや民族音楽から演歌まで、異種ジャンルの音楽やフレーズが混然一体となれたのも、サンプリングだからこそ簡単に実現できたわけです。


仮に、Mさんが一から自分で制作するとなると、ピアノパートだけでも、

1. ピアノを弾けるように練習する(笑)
2. コード進行を勉強する
3. 一曲分の長さのピアノ伴奏を考える
4. ピアノ音源でMIDIを打ち込む
5. MIDIを編集する
6. 音質を整える

など、モチベーションの下がる果てしない勉強と作業が待っています。実際にスピーカーから音が出るのは、一体いつになるのか分かったもんじゃありません。

ピアノの鍵盤を指で押している子供

その面倒な過程をショートカットして、市販の曲の断片を積み重ねることで手軽に音楽制作を楽しめるのが「サンプリング」と「ループ」のメリットです。一から生地を縫製せずに、気に入った布片を縫い合わせて新たに生地を作りだすパッチワークと一緒ですね。
多分、これからDTMを始めたいと思っている方は、「楽にカッコいい音楽が作れればなぁ…」というヨコシマな(笑)気持ちを少なからずお持ちでしょうから、まずは余計な手間をかけないでサクッと音楽を作ってみたいはず。
少なくとも私はそうでした(笑)


もちろん、他人の曲を悪く言えばパクるので、著作権的にも人道的?にもイリーガルですし、ましてや無許可でサンプリングした挙句、自分の作品としてリリースして利益を得るのは言語道断ですが、個人の趣味の範囲でサンプリングを楽しむのは全然OKだと思います。

レコード屋の陳列棚

実際に当教室でも、DTM初心者の方にはサンプリングとループによる音楽制作を勧めています。
音楽的知識がない・アイディアがない・楽器が弾けないからといって、安易にサンプリングやループに逃げるのは、音楽制作をする上でネガティブな考え方かもしれません。しかし、誤解を招きそうなので言っておきますが、サンプリングによる音楽制作もかなり奥が深く、実に色々なテクニックやノウハウが必要です。また、多かれ少なかれ、MIDIの打ち込みやミキシングなど専門的な作業も必要となってきます。

けれど、始めのうちはそんなことは気にせず、お気に入りのJ-POPでもサンプリングしてループさせるだけでOKです。たとえ人の曲がベースになっていても、自分の選んだネタ(サンプリングした素材)がループするだけで、アーティスト気分で否応なくテンションだって上がります(笑)

まずはスピーカーから音を出さなければ、DTMの楽しさだって分かりません。

レコード屋の陳列棚

サンプリングは既存の曲を利用する性質上、任意にフレーズを作ることはできません。それは、サンプリングの欠点でもあり、サンプリングを利用するときの代償です。そのため、いずれは「自分の思い通りにフレーズや楽曲を作りたい」という欲求も湧いてくると思います。

専門的な勉強やテクニックの習得は、それからでも十分です。

DTMに慣れてきて音作りの楽しさも分かってきたら、先のDTM的事務職作業に対する耐性も備わっているはず?(笑)


という訳で長くなってしまいましたが、mashup soundのブログでは積極的に専門的な知識やテクニックの紹介はしていません。遠回しにサンプリングという制作方法に誘導していますが(笑)、「まずは手軽にDTMを楽しもう」というコンセプトで、サンプリングソースやネタの紹介を中心に書いています。カッコよく言えば、年々複雑化するDTMに対するアンチテーゼでしょうか(笑)

このブログを機に、「DTM=難しそう」→「サンプリング=何か楽しそう」→「音楽作り=僕・私にもできるかも」と思って頂ければ幸いです。楽器なんか弾けなくても、「音楽を作ること」を楽しめるのがDTMなのですから。


余談ですが、当教室のDTMビギナーの生徒さん達は、変にマニアックなこだわりがないので、J-POPから昭和歌謡、クラシック、お父さんのレコード?、YouTubeの動画(笑)と様々なところからネタをセレクトしてきます。当教室にもネタは豊富に用意しているのですが、みなさん「どうだ!」と言わんばかりに、自らセレクトした自慢?のネタを持参してきます。
挙句の果てには、「この曲、サンプリングしたら面白いかも…」と、音楽の聴き方もトラック・メイカーさながらに変わるみたいです(笑)

サウンド・メイキングパーマリンク

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